徳島の風物詩「阿波踊り」に行きたい、と提案してきたのは母でした。

阿波踊りといえば、「眉山(びざん)」という映画の舞台になりました。
徳島に住むチャキチャキの江戸っ子気質の肝っ玉母さんが末期癌になり、都会で働く娘と最後に阿波踊りに行く・・・という母娘の姿を描いた物語で、母がその小説を読んで私に勧めてくれて、私も読んでボロボロに泣いた思い出があったので、母の口から「阿波踊り行かない?」と言われた時には、正直ドキっとしました。

「眉山の肝っ玉母さんは不倫の末にひとりで娘を産み、育てました。弱音を吐かずに、女手一人でたくましく生き、明るい人柄から周りの人に愛された人でした。そして、不倫相手の生まれた眉山の近くで生涯暮らしたのでした。

私の母も「眉山」の母に似ていて、(私は不倫の末の子ではない(はず)ですが・・・)私が中学生の頃に父が突然倒れてからは女手一人で看病しながら、父の故郷神戸で私たちを育ててくれました。そんなわけで、「眉山」には何か共通点を感じていました。

大学を卒業してから、年に1度母と二人旅をしています。自分が働くようになり、そして結婚や出産について身近な歳になってきて、一層母のことが恋しい気持ちです。そして、今は亡き(祖母いわく“千の風になっている”)父のことも同じように恋しくなります。

写真:善通寺近くにある名物
かたパンのお店
旅行へ行っても、母娘で深い話を語らうでもなく、「美味しいなぁ」「きれいやなぁ」「極楽やなぁ」ってな感じでのほほんと楽しんでいるだけなんだけど、今はそんな時間がとても貴重で、幸せに思います。隣でいつもよりもはしゃいでいたり、阿波踊りに飽きてコクリコクリと居眠りそうになったり、布団に入って3秒で寝る母の姿をかわいいなぁと思うことが私にとって大事な思い出になります。

写真:ビニールハウスにある讃岐うどん屋の"釜たまうどん"¥280!最高!!
今回の旅行は、むかしテニスクラブで母のコーチをしていた4歳年上のI君が企画してくれました。私が高校・大学生の頃には毎日のように我が家で晩御飯を一緒に食べていたので、お兄ちゃんみたいな存在です。I君は母のことを「お母さん」と呼んでいます。私よりも(?)孝行な息子です。学生の頃はそんな心優しいI君に密かに憧れていました。。
I君は昨年結婚し、かわいい奥さんのお腹にはベイビーもいるのですが、母娘にステキな思い出を、と色々連れていってくれました。
I君いつも母を大事にしてくれてありがとう!あなたから「孝行」を学びました。

写真:I君とカワイイ奥さんとベイビー(まもなく誕生)